庭中梨花謝又一年
庭に咲く梨の花、また一年を経て散りぬ
立清宵 月華灑空階
清らかな夜、月の光が空の階に降り注ぐ
夢裡笙簫奏舊樂
夢の中で笙と簫が奏でる、古の音楽
夢醒淚染胭脂面
夢醒めて涙が胭脂の面に染み渡る
《小重山》 念一遍又一遍
《小重山》を繰り返し、何度も心に響かせる
聞 更漏咽 頻教前塵辭長夜
更漏の音が咽び、長い夜に過ぎ去りし日々を思い出させる
久無眠 深坐對宮檐
長きにわたり眠れず、深く座して宮の屋根を見つめる
多情最是春庭雪
情深き者、春の庭の雪の如し
年年落滿離人苑
年々、離人の苑に雪のように降り積もる
薛濤箋 上言若如初見
薛濤の箋(手紙)には、まるで初めて會ったかのような言葉が記されている
這一世 太漫長卻止步咫尺天涯間
この一生はあまりにも長く、けれども一歩も進めぬ、天涯の間に隔たる
誰仍記 那梨花若雪時節
誰が覚えているだろう、あの梨の花が雪のように咲いていた季節を
「我心匪石不可轉」
「私の心は石のように動かぬ」
「我心匪席不可卷」
「私の心は席のように巻き取れぬ」
空凝眸 情字深淺無解
空しく見つめ、情の深淺に解けぬ思いを抱く
春欲晚 梨花謝又一年
春は遅く訪れ、梨の花はまた一年を経て散りぬ